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合意と妥協の産物の美しさ

 ちょっと古い文章ですが…。
#なんとなく、在庫一掃処分してしまいたい感じ。

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 100%合意なんてできないとしても、合意と妥協でさまざまな問題が解決することは多いと思います。

 以前、内田樹先生のサイトを好感をもって紹介しました。全面的に支持するわけでもないけれども、同意できる点はとても多い。そんなことを思いつつ、このセンセイの論説を眺めていると、なんとかと称する人が批判的な論陣を張っているのを見つけました。

 資本だの、搾取だの言っていることからしても、古いマルキストみたいなんですが、その一方で「出来ない奴の気持ちもわからないこの教授先生の優等生的な意見に賛同する奴らは、所詮資本家気取りだ」ってな感じの言い方もしています。確かに、それは合っているかなとは思います。教授センセイともなれば、大学運営も含めて、人に上からものを言わなければならないのは、私にもそんな側面があるから、わかります。

 でも、今の時代になって、資本家による搾取というのは、果たしてなんなのか。彼らだって人間です。身分の流動性が乏しかった昔の議論とは違って、今や先進資本主義国の多くでは、努力すればエリートだって不可能じゃないわけです。とはいえ、内田先生は苅谷剛彦先生の著作を引いて、大衆化の危機を説いている。

 それはまさに刹那的な人生観の台頭があるということです。

 生きることがそれなりに大変で、自由が少なかった時代、みんなのために生きるということは難しいことでもなんでもなかったし、今でも一部の田舎に行けばそれが残っている。しかし、今やそんなうっとうしいことは出来ないという。

 ところで、NEET達は社会や周囲への不満を理由に表に出てこないわけですが、結局それは上からの命令に対して、それを遂行する自信、いや動機がないということです。つまりは、自分の感性に理由がないということの裏返しではないのでしょうか。正直な気分の発露なんだとは思います。そこで、こんなブルジョア的で強権的な意見を言われたら、まともに受けたらへこむだろうなあ。

 若いうちは、自由も少ないですが、その分負わされる責任が少ない。年を経れば、責任を負わされるけど、その範囲内での自由は手に入る。

 内田センセイだって、今の地位を得るためには、それ相当の努力なり運なりがあったのだと思います。その結果として、少なからぬ社会への影響力を手に入れている。他方、わたしより若干年上の批判氏は、若いうちから自由を手に入れたふうなプロフィール。もちろん、それだけで推測するのは危険なことだけど、それと引き換えにこれからの人生でも好き勝手なことをネットでただ吼えるだけのものでしかない。

 どっちが人間として偉いかといえば、前者じゃないでしょうか。愉しくもないことをもがいて受け入れながら、自分の自由を手に入れてきた。そこまで行かなくても、自分勝手に生きてきた人を自分の上に頂くことは、想像しただけでもぞっとします。

 人生の充実感って、どうやって手に入るのか。この問いはNEET達も続けていますが、そんなふうに人生を刹那的に生きるんじゃなくて、長い目で見ていくということが、大事じゃないのでしょうか。

 懐かしい話ですが、ゴルバチョフ氏はかつて共産党政権を担い、その政権を崩壊させることに成功したわけですが、彼にしてもその下積み時代の違和感を押し殺した苦悩があったろうと想像します。

 じゃあどうしたらいいのか。効率的な利潤の追求においては、ゲーム理論ではないですが、パレート非効率さを避けねばならないというのが、経済学の教えること。パレート非効率とは競争主義が安易に作り出してしまうものです。競争主義とはエゴイズムの極地。

 感性というのは極めて個人的な問題です。わたしはメロンがあまり好きではありませんが、多くの人はそれを聞くと、うまいメロンを食ったことがないのだろうという。うまいメロンならうまいと思います。しかし、奴らはいつもそんなにいいメロンを喰っているのだろうか。
 それはさておき、自分の感性は普遍的ではないし、そんな主張をしたとて、受け入れられるとも思えない。メロンの話なら、利害が絡まないからたいしたことはなくても。

 「ひとそれぞれですよね」ってな議論が意外にまかり通っている。いや、正直言えば、世代間の隙を突かれたのかもしれません。それほど、世代交代ってのは難しい。支持から不支持へ180度変わることなんてざらですからね。ただ、これまでとは違う、新しい時代の生き方はあるんだと思う。今、辛いことがあっても、先を見て、静かに頑張ってみたいな。

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