« しばらくおやすみ | Main | ある種の「諦め」を知らない恐れ知らずの人たちへ »

傷つけ傷つけられる係わり合い

 とある掲示板に書き込んだ。その主の物言いには、人を傷つけるものもしばしばあった。わたしは、それに反応したかった。私にとって教え子という名の知り合いである彼のその表明は、人を傷つける覚悟を持って、周囲と関わることに臨んでいることを意味するものだと客観的には思えた。しかし、その実態は独語であり、掲示板は聞いて快いものだけの集いに見えた。

 言葉で傷つかなかった彼だからこそ、いや傷つきつつも自分を客観的に貶めることが出来なかった彼が、そこには見えた。そういう解釈がわたしの主観だったとしても、勢い余って彼の掲示板に書き付けた。彼は私の真意がすぐにはわからなかったようだが、それ以上に過敏に反応してくれた方が居た。わたしは偉そうだというのである。

 実はこのことが、このBlogへの投稿を一旦中断した理由である。簡単に真意が伝わるとは思って居なかったし、彼を傷つけることになるという覚悟は、もちろん私にはあった。しかし、そのこと自体を第三者によって拒否されたように思えた。傷つくことを拒否する権利は、当事者に許されるものである。しかし、それを超えたところに何かがあるのではないか。もっと言えば、傷つき傷つけられる関係というものも、人生にとって意味あるものではないのか。この思い上がった問いに決着が付かないうちには、ここに書くことはないと思っていた。

 そんなとき、とあるBlogを見た。

 この主旨は若干ここでいう問いとは異なっている。ある特定の個人に想いを伝えるということとは違う問い立てである。しかし、教員として仕事をするものからすれば、この仕事の持つメディアとしての性質は、個人としてあったとしても、引き摺るものなのだなという想いを強くした。反応してくれた方は、わたしが教員であるということを殊更に取り上げているように見えた。それはわたしの思い込みだとしても、しかし、教員であるという公共性は、書いているその方の念頭にあったことは推測できる。

 しかし、片方で、偉そうにすることが職務でもあると思えなくもない教員という仕事に、私もいつしかなじんでいたのだと気付く。あれほど、嫌悪していたこの役割に。

 それもこれも、私のふがいなさから来ることはわかる。未熟であるからこそ、安易に直接に彼に問うことしか出来なかったのだ。しかし、今ここに至れば、謝罪することではないように思えた。わたしのぎりぎりの覚悟の上での所業であるから。とはいえ、もっと良い形のコミュニケーションを探る必要性は痛感している。聞き手が拒否を経ずして受容できるような、問いかけとしての発話をすることが出来たなら。教員の存在意義をぐらつかされた経験であった。

|

« しばらくおやすみ | Main | ある種の「諦め」を知らない恐れ知らずの人たちへ »

Comments

こんにちは、その節は無礼な発言をしました。すいません。
あの書き込みを読み返すと、私はすごい嫌味なヤツですね。

私はあのHPの管理人を崇拝してるワケではなく、大筋においては、Dr. Peaseさんの仰る通りだと思っていましたが、あの時はちょっと感じた事を勢いで書いてしまいました。

この場に書き込むのもどうかと思いましたが、Dr. Peaseさんがあまりに重く受け止めているようですので、書き込みました。
あの発言は若輩者の思いつきに基づいた、底の浅いモノですので、お気になさらないで下さい。
お騒がせして、申し訳ありませんでした。

Posted by: risotto | May 08, 2005 at 12:24 AM

risottoさま

優しいお気遣いありがとうございます。年度の初めは何かと気を使うことが多く、Blogの更新をおろそかにしていました。気がつくのが遅れてすみません。

わたしも、彼のサイトを見ていて、とても居たたまれなくなって、掲示板へ書き込んだという意味では、皆さんと大差ありません。「先」に「生」まれた者として、気がついたことを出来る限り分かりやすく伝えたい。彼との思いのすれ違いを感じていたので、どういった場なら対話が可能なのか。掲示板がそれにふさわしいとは思えなかったものの、失敗を恐れず試してみたところでした。

しかし、正直に申し上げれば、risottoさんの言葉を頂かずとも、既に結論は出ていたように思います。暖簾に腕押しというか…。だから、率直な反発というのでしょうか、彼から聞けたらと思っていた言葉がrisottoさんからだったので、うろたえたと言うのが正しいところです。

こういった経験も自分を振り返る上でとても大切だと思っています。いろいろとありがとうございました。

Posted by: Dr. Pease | May 11, 2005 at 11:56 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29245/3788475

Listed below are links to weblogs that reference 傷つけ傷つけられる係わり合い:

« しばらくおやすみ | Main | ある種の「諦め」を知らない恐れ知らずの人たちへ »