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夢?絵空事?一足飛びな人生

 どうも、個人主義が行き過ぎて、自分の周辺にいる対話可能な「身近な人」との係わりが薄らいでいる。周りが見えていないのだ。その代わり、マスコミが伝える著名人が「身近な人」になっているのだろうか。
 その結果、身近な人の日々の具体的な考え方や生き様を見ることがなく、着実な成長がない。著名人の成した成果に一足飛びに到達しようと絵空事ばかり描いている。タレントになりたい子供と大して差がない。

 正直言って、最近この仕事に嫌気が差してきている。学生の自分の想いばかりが目に付く。そんな彼らに着実に進む事を教えるのは、容易ならざることだ。「そんなにすぐに諦めないで、もっとじっくり構えてよ」と言うと、「先生はもう立場を確立しているから、そんなことが言えるんですよ」、という反論を貰ったりする。わたしは結構、地道にやってきたつもりなのだが、それを理解していない。周囲の人たちの経緯や経験を無視して、立場を確立することを急ぎ求めている彼らの内面が浮き彫りになる。そのくせ、漠然とした結果に対するイメージだけで、具体的にどんなことをしたいのか聞いても、答えが出せない。その結果、目の前の問いに打ち込めない。体育会系の乗りは、最初はましに見えるが、先輩の言うことを聞くのに慣らされているだけに見える。つまり、初期的には上司からは使いやすいのだが、結局同じところに到達する。若い頃の短期決戦で決着をつけて、長い人生を楽をしたいんじゃないかと勘ぐってしまう。

 マスコミの一部もこれを自覚して啓蒙するためか、地道に生きる人々への賛歌のようなTV番組や記事が増えてきているように思う。先日の「プロジェクトX」は、医療用の超音波診断装置(エコー)の開発物語だった。関係者の想いが伝わってくる物語はいつもながら感動的であった。しかし恥ずかしながら、これほど医療に貢献している装置であるエコーが日本で開発されたのを、わたしは知らなかった。これほど立派な仕事でさえ、一般には知られていない。最初に考案した方は、今や医大の教授だから地位もあるとは思うが、いわゆる著名人ではないのだ。ましてや、さまざまな新機軸を考案した技術者はなおさらである。

 時代が何を欲しているか。自分が責任を負ってなにかをしなければならない段になったときに、それに合致するかどうかは運まかせな部分はある。いわゆる「著名人」になりたいのなら、それは困難な問題に直面するだろう。しかし、その業界で一目おかれる存在になるのは、それほど困難ではないだろう。とはいえ、明確な問題意識を持ち、着実に問題を片付けていく根気が必要だが。それを持ち合わせている人は、意外に少ない。というより、そんな生き方を自覚できない人があまりに多すぎるのだ…。

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