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人を売り、自分を売るII

 みんな見てる:-)


 ここにいろいろ書くとなると、研究のことを書くわけでもないから、ネタのためにやっぱり人を売らなければならない。といっても、そんな権利は本来私にはない。といって、自分のことばかり書いていたら、なんかナルシストっぽくて嫌な感じがする。そんなことを考えていたら、ここ数日筆(?)が進まなかった。

 以前、島尾敏雄の「死の棘」を読んだ。病妻ものという人もいるようだが、いわゆる私小説であり、島尾氏の浮気をきっかけに妻がノイローゼになっていく経緯を書いたものだ。その筆鋒に、

 「どうしてここまで。」

と思ったものだ。島尾氏は既に故人であるが、奥さんは島尾ミホの実名で作家として活動している。作家やタレントなどのように「わたくし」を売ることが、公人として生きることと等価かどうかは分からない。しかし、彼らにその覚悟はあるのだろう。それを売った結果として、何かが伝わっている。


 わたしはそんな種の人間では無論ないが、人生に触れるとなると、自分だけでなく人を引き合いに出さざるを得ないようだ。自分の思いだけでは説得力を欠く。そこは他者の力を借りねばならない。とはいえ、フィクションに語らせるという選択肢もありえる。ただ、単にまだ未熟なのだろうが、私には違和感がある。大概の一人遊びなら試してみようと思うし、小説も大好きな私で、書けたらなと思うことはあっても、それを実際に書いてみたことは今まで一度もなかった。直截的に現実に語らせるくらいしか術がないのだ。それはなぜだろう。単に技術的な問題だけだろうか。少し考えてみる必要がありそうだ。


 話が飛ぶが、finalvent氏の「極東ブログ」は、時事ネタを元にした丁寧な分析とコメントで有名なサイトである。時事ネタは既に売られたもので、共通の話題たりえるし、身近を売らない点で、とても健全で安心な話題だ。しかし、それ以前に、自らの感性を晒す潔さに恐れ入る。有名になると、いろいろ批判もあるようなのを見るとなおのことそう思う。それらの批判のほとんどは単発的で、自分は安全なところにいて、責めやすいところだけ撃つって感じが好きじゃないが。ともかくも、これに比べたら、わたしの言葉なんて論理も結論も曖昧な感傷的な文に過ぎないなと恥ずかしく思う。

 わたしはここにこんなことを書いて、一体何を望んでいるんだろうか。自己顕示ならもっと他の方法があると思う。自分の取説を書いて、思い通りに人を動かしたいのか。やっぱりそうなんだろう。それが滅多に叶わないと諦めているくせに、読んでくれるような人にわたしをうまく騙して欲しいと密かに期待している。ああ、ナルシストでつくづく身勝手な奴なんだなあ。

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